縫い物を始めたきっかけは長女を出産して家に引きこもっていたときに自宅でできる仕事がしたいと思ったからだった。
自分の手でできること、誰かに喜んでもらえること。
そんなことを考えていたら針仕事に辿り着いた。
特に好きだったわけでもないし、手先が器用なわけでもない。
色の組み合わせを考えたり、イメージするものが形になっていくのが楽しかった。
最初の頃は自己満足の部分が大きかったのだと思う。
nuïという名前は縫い物から取ったヌイで捻りもカッコつけもない。
nuïを細々と続けてきておよそ10年。
続けてこられたのは作品の向こうに見える誰かの笑顔があったからだ。
私のつくるアクセサリーで誰かがちょっとでも嬉しい気持ちになってくれること。
「アクセサリーを作るとき、どんなことを考えてるんですか?」
と、今日常連のお客さんに聞かれた。
「アクセサリーをつけてくれる人のシチュエーションを考えてる。
例えば今日はデートだからこのピアスつけて可愛くなりたい、とか今日は仕事で緊張することがあるからこのイヤリングを御守りにしよう、とか。
アクセサリーの向こうに見える人のことを考えてひと針ひと針縫ってるよ。」
と、私は答えた。
「やっぱりなあ。ヒロミさん(私の名前)のつくるピアスつけるとなんていうか気持ちが落ち着くんです。安心するというか。
ヒロミさんが見ててくれるというか。」
と、ここで涙ぽろぽろ。
彼女、仕事でいろいろあったようで。
そんな時に私のピアスを選んでつけてくれて。
私の想いが作品にちゃんと乗せられてるんだ。
嬉しくて嬉しくて彼女を抱きしめた。
今日もひと針ひと針に想いを込めて。
胸がいっぱい。
おやすみなさい。
0コメント