必要なときに必要なタイミングで情報や物や人との出会いがあるもんだ。
今回香道を体験できたのもそんな出会いがきっかけだった。
趣きある門をくぐると広々とした庭。
玄関を開けると迫力ある屏風が出迎えてくれた。
今回体験した香道というのは茶道、華道といった日本芸道のひとつ。
流派は茶道ほど多くないそう。
私が体験したのは志野流。
まずはこんな箱がまわされる。
鳥の形のものには水が入ってる。
箱の中はコンパクトなお習字セット。
墨をするなんて小学生以来だわ。
あの愛らしい鳥は墨をするときに使う水が入れられたものだったのね。
集中して墨をする感覚は茶道の稽古をしているときと似ている。
御点前最中の写真はないが私はその美しい所作に始終うっとりしていた。
香炉に乗せられた香木を鼻先に持ってきてその香りを聞く。
(香道では香りを嗅ぐのではなく聞くという。)
なんと心安らぐ香りなんだろう。
御線香に近い香りかもしれない。
少し前まで御線香の香りが苦手だった。
茶道の先生のお宅で時々焚かれている香木の香りにいつしか安らぎを覚えるようになった。
そんな香りを集中して聞き身体や脳に記憶させる。
あゝなんと官能的な。
美味しいとか美しいとかの感動が心の奥底まで届くくらいのものは官能スイッチと繋がってる。私の場合は。
今回体験したのは組香、だったかな。
聞いた香木を順番に書いてそれが正解していた人がこの記録をもらえる。
同じ木でも厚みや熱し方によって香りの出方が違う。
香りだけに集中するという贅沢な時間。
今という時間に集中するというのは日本芸道に共通することなんじゃないだろうか。
そしてここまできたらゴール、みたいなものもない。
お茶の世界では私はまだまだ赤ん坊みたいなものだけど。
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